2015年3月6日金曜日

横軸の構造・・・ラングとパロール

次に横軸について考えてみましょう。横軸は、言葉という人工物が持っている、本質的な構造によって、新たに生み出されてくる、個人・社会の軸です。

近代記号学の開祖、F・ド・ソシュールによると、言葉の機能には、日本語や英語など民族や国家が共有している「ラング」の次元と、それを使って個人が会話を交わしたり、一人で思考するという「パロール」の次元があります。


ラングとは、文法や単語、音声や意味など、社会集団が共有している言語体系であり、パロールと、はそれらを前提にして、実際に話したり考えたりする、個人的な言語行動ということです。

パロールという行為はさらに2つに分かれます。ソシュールを継承した丸山圭三郎によると、他人との交流のためにラングを使用する行為は「パロールⅠであり、個人が私的にラングを使用して自らと会話する行為は「パロール2」である、と定義しています。

とすれば、言葉によって作られる生活世界は、ラング界、パロール1界、パロール2界に3つです。この3つをイメージ化してみると、図に示したように、外側の世界と交流するラング界は「社会界」、日常的な暮らしにおいて交流を行なうパロール1界は「間人界」、自己の内側と交流するパロール2界は「個人」と言い換えることができます。


 


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