2016年11月22日火曜日

生活民は「価値」よりも「私効」を重視!

生活民の暮らしとは「自己生産や自給行動と他者生産や受給行動との接点で行動する」ものだ、と述べてきました。

この場合、供給側の創り出す「価値」と生活民の重視する「私効」の関係はどうなっているのでしょうか。

生活空間におけるネウチ(有用性)の構造については、すでに次のタイトルで述べています。

価値と効用・・・言語学で説明する!】(2015年10月5日)
効用の3つの形・・・マーケティング戦略も3つに分かれる!】(2015年10月20日)

これらを生活民の視点で改めて整理してみると、次のように要約できます。

価値=共効(Social Utility)・・・社会界において、ラング=社会集団が共同主観として認めた「共同的有用性」。
個効(Individual Utility)・・・間人界において、生活民がパロール1=個人使用を行う時に、一人の個人として、社会的効用を受け入れた「個人的有用性」。
私効(Private Utility)・・・私人界において、生活民がパロール2=私的使用を行う時、一人の私人が独自に創り出した「私的有用性」。

つまり、生活民の生活行動に当てはめれば、「私効と個効と共効の接点で行なわれる」という意味になります。

いいかえれば、生活民はそれぞれの生活の中で、自分で創り出した「私効」を中心としつつも、外部から調達してきた「共効」を「個効」として受け入れ、新たな「私効」へと変換することにで、有用性の範囲を広げている、ということになるでしょう。

このように考えると、供給側(現代市場社会では企業が中心)の差し出す、新たな「共効=価値」とは、あくまでも生活民がそれぞれの私効を構築していくための素材ということになります。

従来の供給サイド・マーケティングでは、「新たな価値創造」とか「新たな付加価値」という行動が最重要課題のように喧伝されてきました。

だが、それはあくまでも供給側に限った視点であり、需給両面、つまり生活民を含めた、よりトータルなマーケティングから見れば、片手落ち、あるいは一方的な方法論にすぎません。

真の「価値」創造とは、生活民の1人1人が新たな「私効」を充実できるような、新たなネウチ(有用性)の素材を提供することにあるのです。

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