2017年2月4日土曜日

「編集」・・・問われるのはコトとモノの調整力!

3つめの「編集」戦略は、さまざまな既製品を自由に組み合わせて、自分なりのモノを作りあげる、ユーザーの“自主編集権”を満足させるもので、供給側からいえば、それぞれの材料を提供する手法です。

代表的な事例としては、マイブレンド酒、惣菜バイキング、自由編集アクセサリー、高級コンポステレオなどがあげられます。



マイブレンド酒とは、自ら編集して作りだすウィスキー。バーのカウンターにウィスキーのモルト(原酒)をズラッと並べて、ユーザー自身がさまざまに混ぜながら、自分だけの「マイウィスキー」を作り出す販売方式です。

惣菜バイキングは、ユーザーが惣菜を自由に組み合わせて、好みの献立を作りあげるサービス。惣菜店の店頭に50~60種の惣菜をズラッと並べ、値段は100グラム150~300円の2種類とします。ユーザーが値段別のプラスチック容器に種類も量も自由に取って、カウンターで1回計量するだけ。別売りのごはんと合わせると、体調や好みに見合った弁当ができあがり、店員の人件費も安くなるという、双方の利点があります。

自由編集アクセサリーは、フリースタイルのアクセサリーともいわれており、1つの素材がブローチになったり、ペンダントになったり、いろいろなデザインを楽しめるもの。ユーザーがその時の気分でいろいろと工夫して、より満足度を高めることができます。

高級コンポステレオは、ちょっとマニアックなユーザーが、A社・B社・C社の商品の中から最良の部品を買ってきて独自に組み合わせ、自分好みの音感を作りだすもの。ここまでくると、最高級の編集型商品といえるでしょう。

以上のように、「編集」次元では、コトとモノへの両方の介入度が「参加」次元よりも、いっそう強まってきます。「参加」次元への介入度が5割以下だったとすれば、「編集」次元のそれは5割以上といえるでしょう。

それゆえに、生活民に求められる「編集」行動への対応力とは、次のようなものになります。

①「私仕様」や「参加」と比べて、適切な便益を求めるためには、多少の費用増加もまた負担することが求められます。

②「選択」の本質は、ユーザー自身の嗜好性や目標性という「コト」次元の能力ですから、日ごろから錬磨しておくことが必要です。

③「組み合わせ力」や「加工力」といった「モノ」次元での介入能力もかなり求められますから、これまた日ごろから高めておことが必要です。

要するに、生活民の「編集」対応力とは、高度な市場社会を前提にしつつ、そこからの供給物を徹底的に利用して、より高度な自己の願望を実現するために、コトとモノを調整していく能力ということになるでしょう。


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