2017年10月31日火曜日

無意識次元への3つの対応

生活民の差元化行動に向けて、供給側が行うべき、2番めの方策は無意識次元への対応です。

生活民が行う、無意識次元の差延化行動とは、眠り、酩酊、陶酔といった状況に自らを追い込んで、生来の直感力や超能力を回復させることです。

無意識や本能は通常、意識下の暗い深淵に潜んでいますが、時折、夢や幻想など「欲動」の形をとって噴出し、日常生活空間の記号で覆われた「欲望」の厚い膜を速やかに突き破ってくれます。

そこで、生活民には、無意識や本能が見えやすい環境を、自ら積極的に作り出すことが求められます。眠り、酩酊、陶酔といった状況に自分自身を追い込んで、その中でたっぷりと夢や幻想を味わい、そこから生来の直感力や超能力を回復させるのです【
差元化とは何か?:2015年8月20日】。

こうした生活民の差元化行動に対応して、供給側に求められる支援策としては、すでに述べたように、①没我力支援、②直感力支援、③自己対面力支援などが考えられます【
「差異」より「深化」を!:2016年4月27日】。それぞれの事例を考えてみましょう。

没我力支援では、睡眠、催眠、酩酊などへの誘導や援助を行う生活素材や支援サービスが求められます。素材では快眠グッズ、眠り薬、睡眠導入剤、酒、アルコール飲料などが、サービスとしては睡眠誘導、催眠誘導、熱狂空間、無礼講などが考えられます。

直感力支援では、身体や感覚を研ぎ澄ませて、霊感や六感を増加させる生活素材や支援サービスが求められます。素材ではリラックスミュージック、リラックス絵画など、サービスでは伝統的な座禅、自己催眠法、自律訓練法に加えて、さまざまなリラクゼーション技法などが先例となるでしょう。

自己対面力支援では、無意識の次元に立ち戻って、自らの原点を確認し、それを社会に向けて広げさせる生活素材や支援サービスが求められます。素材では、現在開発中の潜在意識型VR(ヴァーチャルリアリティ)が、またサービスではこれまた研究中の潜在意識セラピーなどが、それぞれ考えられます。

以上のように、生活民の求める無意識行動に対しては、生活素材と支援サービスの両面から、伝統的な支援手法の再評価はもとより、最先端のテクノロジーを駆使した対応もまた求められるでしょう。

2017年10月20日金曜日

「白戸家」の物語は終わるのか?

「白戸家」のCMが終わるか終わらないのか、ネット上で話題になっています。


このためか、このブログでもビュー数が急増しています。

かつて【
白戸家はなぜ三太郎に敗れたのか?:2016年5月10日】に始まり、数回にわたって白戸家」CMの弱点を指摘してきたからです。

敗因の要点は、白戸家CMが「物語戦略」であるのに対し、三太郎CMが「神話戦略」である、という点です【
物語戦略と神話戦略・・・どこがどう違うのか?:2016年7月15日】。

両者の根本的な違いは【
物語戦略と神話戦略・・・違いを整理する:2016年7月29日】で詳しく述べていますが、要点を再掲すれば、

◆物語戦略は需要者の欲望を刺激して、供給者側からの強引な誘導を行う手法

◆神話戦略は需要者の欲動(無意識や感覚)を刺激して、需給両者の共感を作りだす手法

ということになります【
物語は供給者からの誘導、神話は需要者との融合:2016年8月8日】。

この違いこそ、生活民の差元化志向に向けて、供給者が適切に対応していく場合に、最も意識すべき視点だと思います。

差元化行動には、象徴力次元、無意識次元、感覚次元の3次元がありますが、神話戦略は象徴力次元に対応するものです。

とすれば、他の2次元に対しても、より適切な対応が求められるでしょう。

2017年10月8日日曜日

生活民の差延化志向に対応する!

生活民の「私効」志向に向けて、供給側がマテリアリング(素材提供)を行うとき、最も基本になるのは、彼らの「差延化」行動へいかに対応していくか、です。

差延化とは何か。これについては【
生活民にとって「差延化」とは・・・:2016年12月19日】で、またその具体的な行動については【差延化戦略には5つの方法があった!:2016年12月31日】で、詳しく述べていますので、まずはご参照ください。

上記で述べた、5つの行動とは私仕様、参加、手作り、編集、変換を示していますが、これらに向かって、供給側はどのように対応していけばよいのでしょうか。基本的な方向は次の通りです。



①「私仕様」対応・・・生活民独自の注文に応えるもので、オーダースーツ、オーダー家具、オーダー結婚式パーティーなど、カスタマイズに対応できる素材やサービスを拡大する。

②「参加」対応・・・生活民に7~8割程度の素材を提供して、自立志向を鼓舞するもので、組み替えスーツ、キット家具製作クラブ、自由設計プレハブ住宅、ログハウスなど、パーティシペート志向に応じた素材やサービスを強化する。  

③「編集」対応・・・生活民の“自主編集権”を満足させるもので、各社の衣料を組み合わせて独自スタイルをつくり出す生活民編集ファッション、各社の部品を編集して独自の車をつくり出す改造車や改造バイクなど、エデイット志向に応じた素材やサービスを拡大する。

④「変換」対応・・・生活民が商品の用途を自由に変えられる要素を提供するもので、ポケットベルの用途多様化、冷蔵庫の総合保管庫化など、コンバート志向に応じた素材やサービスを強化する。

⑤「手作り」対応・・・生活民に2~3割程度の素材を提供するもので、手作りビール、デコラティブ(装飾的)ペインティング、デコパージュ風ニュー手芸、個人手配海外旅行など、ハンドメーク志向に対応した素材やサービスを拡大する。

以上のように、供給者のマテリアリング(素材提供)の基本とは、これまでのマーケティングの基本であった、一方的な商品・サービス供給体制を脱して、生活民がそれぞれの生活を創造していくための素材をインタラクティブに提供することにあるのです。